借地権とは?
建物を建てる際、その土地を地主に借りる権利のことを「借地権」といいます。借地権付きの土地に家を建てる場合、地主へ地代を支払う必要があります。ちなみに青空駐車場や資材置き場といった、建物の所有が発生しない場合は、借地権に該当しません。
不動産広告で一戸建て住宅のチラシには「所有権」もしくは「借地権」の記載があり、前者は「土地・建物すべてを所有する権利」に対し、後者は「建物は自分のもの、土地は借りているもの」を指します。詳しくは▶「借地権とは?」借地権の種別やメリットデメリット等を解説!も合わせてご覧ください。
借地権付き建物のメリット
借地権付の一戸建て住宅というと「何かとトラブルがあったりして面倒らしぞ」と避けるかたもいらっしゃいますが、下記のようなメリットもあるので条件に合うかどうか押さえておいた方がよいでしょう。ここでは借地権付き建物のメリットをまとめました。
費用を抑えられる
借地権付き建物の場合は、土地はすでにそろっている状態です。土地と建物を別々で購入すると、そのぶん費用が掛かります。一般的に土地と建物は30:70の割合の費用が掛かるため、単純に借地物件にすると30%も安くなることになります。マイホームの初期費用を抑えたい場合は、借地権付き建物を選択するのも一つの手です。
土地に関わる税金が発生しない
土地を取得する際はまず購入時に不動産取得税が課税されます。それに加え、毎年都市計画税や固定資産税の支払いが必要です。一方、借地権付き建物は土地の購入ではなく、借りている立場にあたるため、これらの税金は土地の所有者が負担します。土地を所有していると、毎年、「固定資産税」と「都市計画税」がかかり、地価の高いエリアだと驚くべき金額になることも。借地物件であれば借主に課税されるわけではないため都心部などにも費用を抑えて住むことが可能です。
借地権付き建物のデメリット
借地権付き建物には地主が借主に条件をつけて借地権を承認していることがほとんどです。よって借地権があってもいくつかの制約のもとに成り立っている訳です。続いて気になる借地権付き物件のデメリットを見ていきましょう。
地代が発生する
借地権付き建物は、建物を購入し土地は借りている状態のため、土地の所有者に対して地代の支払いが必要です。購入費用はわりかし抑えられても、地代や存続期間によって、土地購入時よりも負担がかかる可能性も考えられます。元々人気のあるエリアや商業施設が新たに建設されるところは、土地の価格上昇も念頭に置かなければなりません。その場合、地代の値上げが求められるケースもあります。
売却やリフォームなどを自由に行えない
借地権付きの建物をリフォーム・増改築の工事をする場合、または売却・譲渡する際は主に地主の許可が必要です。あくまで土地を借りている立場のため、増改築や売却は自由に行えません。もし、地主の許可なしに建物のリフォームや二世帯住宅を建てると、後々大きなトラブルにつながるため、何かしら建物を触りたい場合は、必ず地主へ確認しましょう。
住宅ローンといった銀行の融資が受けにくい可能性がある
他人の土地の上に建物を建てる借地権付き建物は、所有権よりも銀行側の担保価値が低くなる傾向にあるため、銀行が融資を渋る可能性があります。昨今では、定期借地権付き住宅ローンも増えてきていますが、融資額に制限が出る・審査が厳しいといったリスクが生じるため、購入前の確認はマストです。
借地権付き物件は出口戦略まで考えておく
借地権付き物件は大きく分けて旧法借地権・新法借地権の2種類に分類されます。
旧法借地権は借地権者側の立場を守る意味合いが強く、契約延長などにおいても地主は一方的に放棄することが許されていません。
新法借地権は新借地借家法ともいい平成4年8月に制定されました。詳しい内容は割愛させてもらいますが借地契約期間を一般的に50年と定めた「⼀般定期借地権」があり、延長は無く、期間満了後は地主に土地を返還する必要があります。
どちらの場合にも地主さんと友好的な話し合いが必要になります。
また、いずれ借地権付き物件を手放し売却することも視野に入れておくべきでしょう。
おしなべて言うと借地権付き物件は売却しにくい物件です。
購入希望者がいたとしても買い叩かれ安い金額で手放さなくてはならないケースが多く発生しているのです。
そこで地主さんの土地(底地)をいったん買い取ってから売り出す同時売却や不動産会社に売却するなどの出口戦略も合わせて考えておくべきでしょう。
今回は一般的ではないためちょっと分かりにくい物件、借地付き建築物について紹介してきました。不動産のチラシに「借地物件」などの文字があったら、他の物件と比較しどれだけ安いだろうか、どういう条件になっているかなどを調べてみるとよいかもしれませんよ。